パン屋の経営学
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パン屋のEC通販戦略|全国に顧客を持つ小さなパン屋の成功モデルと始め方

地方の小さなパン屋が、ECで全国のお客様に届けるビジネスモデルが急増しています。実店舗だけでは届かなかった人々に、本物のパンの価値を伝えた成功事例を解説します。

11分で読める編集部著者:編集部
パン屋のEC通販戦略|全国に顧客を持つ小さなパン屋の成功モデルと始め方

地方の小さなパン屋が、店舗に来られないお客様へ全国発送する——ECは「大手だけのもの」ではありません。商品の選定と発送の仕組みさえ整えば、個人ベーカリーでも月商プラス20〜50万円の安定収益を作ることができます。岡山の成功事例とともに、EC参入の全手順を解説します。

EC販売に向いているパンの条件

すべてのパンがEC向きではありません。オンライン販売で成功するには、以下の3条件を満たす商品選びが不可欠です。

条件詳細NG例
日持ちする常温で最低3〜4日、冷凍で1か月以上生クリーム入りパン、フルーツデニッシュ
解凍後も品質維持冷凍→解凍後に焼き立てに近い食感が出るバゲット(食感が落ちやすい)
ギフト需要がある贈り物・手土産として選ばれやすい総菜パン・サンドイッチ

EC向き商品の例

  • ラスク・フロランタン(常温・長期保存可)
  • 冷凍クロワッサン・冷凍デニッシュ(解凍後トーストで復元)
  • 食パン(冷凍スライス、高単価商品として成立)
  • 焼き菓子セット(マドレーヌ・スコーン等のギフトBOX)

成功事例:岡山のリュスティック専門店

取材をもとに構成した事例です。岡山県で開業7年目の個人ベーカリーBは、国産小麦を使ったリュスティックを主軸に2021年からEC販売を開始。3年間で以下の変化を実現しました。

指標EC開始前EC開始3年後
月商(店舗のみ)約55万円約55万円(変わらず)
EC月商0円約38万円
合計月商約55万円約93万円
リピート購入率約65%
発送件数/月0件約120件

店舗の売上は変わらないまま、ECが純粋に上乗せされた形です。地方のパン屋にとってEC参入は「既存事業を守りながら収益を拡大できる」点が最大のメリットです。

EC向けパンのギフトボックス梱包

EC販売を始める4ステップ

ステップ1:販売プラットフォームを選ぶ

プラットフォーム特徴初期費用手数料
BASE食品販売に強い・設定簡単無料3〜6.6%
STORESデザイン性高・サブスク機能あり無料〜5%
食べチョク生産者向け・農家直送イメージ無料20%
自社サイト(Shopify)ブランド構築向き・拡張性高月額33ドル〜0〜2%

まず始めるならBASEが最もハードルが低いです。商品登録から決済・注文管理まで一括で対応でき、食品向けの梱包サービスとも連携しています。

ステップ2:梱包・発送の仕組みを作る

EC成功の鍵は「商品到着時の感動」です。梱包のクオリティが口コミとリピートを左右します。

最低限揃えるもの

  • 冷凍商品用:発泡スチロール箱+ドライアイス
  • 常温商品用:クラフト箱またはギフトボックス
  • 緩衝材:紙パッキン(エコ感が出てブランドにも合う)
  • サンクスカード:手書き風の一言メッセージカード

発送コストは商品単価の10〜15%以内に収めることが採算確保の目安です。送料込みにするなら商品価格に上乗せし、「送料無料」を打ち出す方が購買率は上がります。

ステップ3:商品ページと写真にこだわる

EC販売では「写真と文章だけで買ってもらう」必要があります。商品ページで必ず書くべき内容は以下のとおりです。

  • 使用している小麦・素材の産地・こだわり
  • 賞味期限と保存方法(常温・冷蔵・冷凍)
  • 解凍・食べ方の手順
  • 製造者(オーナー)のストーリー

写真は「外観」「断面」「食べているシーン」の3カットが基本です。自然光の下でスマートフォン撮影でも十分なクオリティが出ます。

ステップ4:リピーターを育てる仕組みを作る

EC成功の核心は「1回買った人に2回目を買ってもらうこと」です。リピート購入率65%を達成したベーカリーBが実践した仕組みは以下のとおりです。

  • 同梱チラシ:次回購入時に使える「300円OFFクーポン」を必ず同梱
  • LINEへの誘導:「新作情報はLINEで先行告知」と記載し、LINE公式への登録を促す
  • 季節の定期便:春・夏・秋・冬ごとに「季節のパンセット」を企画し、固定ファンに事前告知

パンのギフトセットとメッセージカード

EC参入前に確認すべき法的事項

食品のオンライン販売には「菓子製造業許可」が必要です(すでに取得済みであれば追加手続き不要)。また、食品表示法に基づくアレルギー表示・原材料名・賞味期限の記載が商品ページと梱包に義務付けられています。

消費者庁「食品表示基準」(2023年改正)に従い、特定原材料8品目(小麦・乳・卵・落花生・えび・かに・ そば・くるみ)の表示を必ず行ってください。

まとめ

EC通販はパン屋の収益を「店舗の売上+EC売上」の2本柱に変える有効な戦略です。始めるにはBASEへの登録・EC向き商品の選定・梱包の仕組みづくりの3つだけ。まず1商品・1プラットフォームから小さく始めて、リピーターが増えてから商品を広げるのが安全な進め方です。

※事例は取材をもとに構成。個人・店舗が特定されないよう一部変更しています。

参考・出典

タグ:#EC通販#オンライン販売#冷凍パン#定期便